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57. 全部無料で宣伝してもらう、対マスコミPR術

12/17/2003
玉木 剛
翔栄社 1500円


PR=広報の仕事をしていると言っても、普通なかなか分ってもらえないんだけど、この本には私がやっていることが、何も知らない人向けにやさしく書いてある。この本は企業の中でも、特に広告費のない大半の中小企業が、いかにメディアを利用して会社や製品の知名度を上げ、売上を伸ばしていくかという切り口。うちの会社はその部分を主に外資系企業から請け負っている。ほかにも危機管理トレーニングとか、いろいろあるけど、基本的には、お客さんのためにプレスリリース(報道資料)を書き、時にはリリースのネタを作り、メディアを選定して、記者や編集者に送り、取材をセッティングし、新聞や雑誌に取り上げてもらうという作業をしている。基本的な内容なんだけど、こういう手法があって、ヒット商品が生れることもあるという可能性を知っておくことは、情報社会では重要だと思う。「お金が余っている大企業以外は広告代理店とつきあうな!」という警告は、たしかにって感じがした。企業から情報が山ほど送られてくるメディア側にもヒアリングをしていて興味深い。まあ、メディアが必ずしも正しいことを言っているわけではないけどね。

55.56 笑う出産・笑う出産2

12/13/2003
まついなつき
情報センター出版局 各1000円(税込)


計画性のない結婚&一人目の出産、そして二人目の出産を描いたパート2。夫婦ともに自由業(マンガ家とカメラマン)の2人に2人目の男の子が産まれるまでのこまごまとした日常生活などがよく分る。そっかあ、このくらいで離乳食なんだあ、とか考えながら読んだ。
最近雑誌で見たけど、著者はこの本を書いた後も出産し、合計3人(4人かな?)の子供を連れて離婚したんだよね。ということで、つい「結局離婚しちゃうんだよな。」とか思いながら読んだ。

54. ぼくはこんな本を読んできた --立花式読書論、読書術、書斎論

12/11/2003
立花 隆
文藝春秋社 1456円(税別)


「買いたい本を、値段を気にせず買える」っていうのは、私の理想とする生活の条件のひとつだったことを思い出した。
読書するために会社を辞めて、自分の知的好奇心を満たすために、興味のあるあらゆる分野について執筆活動をすることを仕事にするなんて、とてもうらやましい。これほどまでに人生の優先順位をはっきりとつけられる人はあまりいないと思う。短い人生、何を一番したいのか考えてないといけないのかなあ、なんて思った。

読書法のなかで印象に残ったのは、読書は一字一句を全て読むことではないということ。世の中には悪書が氾濫しているということ。小説家の想像力によって書かれた小説を超えた、遥かにおもしろいノンフィクションがたくさんあること。それから同じテーマに関する本をたくさん読むことによって多面的な視点を持つことは、とくに影響されやすい私のような人間には、とても大事だと思った。

53. 凛冽の宙

12/3/2003
幸田 真音
小学館 1800円(税別)


これも日本国債と同じく金融業界を舞台とした小説。なるほど不良債権を買うサービサーってこういう人のことか、と思った。結局逮捕されたりするけど、うまく頭を使う人のところにお金が集まって、一般市民が損をしちゃってるのかな、と悲しくなった。幸田真音は、現在は年金の代行返上をめぐる作品を書いているらしいので、それも楽しみ。でもやっぱり金融業界のことは相変わらずあんまり理解できないし、それほど楽しそうな業界とは思えない。

51.52 日本国債(上・下)

11/30/2003
幸田 真音
講談社 各1800円(税別)


去年、外資系の債券運用の会社とおつきあいがあったので、そこの洗練されたデザインのオフィスや、新しく設置している途中だったガラス張りのディーリングルームを想像しながら読んだ。政治家が関与するインサイダー取引とか、実際あるんだろうなあ。シロウトの私は、金融機関ってマーケットを相手に、現物に触れることなく多額のお金を日々動かしていて、何かうさんくさいと思う。得する人がいたら損する人もいるってことだし。金融の知識がない私としてはどっちかというと自分がソンをしてるんじゃないか、という被害妄想があるのかも。

50. うわさ

11/18/2003
小池 真理子
光文社 1500円(税別)


4つの短編からなる。男性を主人公にしたものは、ちょっと「ビタミンF」の重松清っぽいかな。ただ、どれも犯罪がからんでいるところが現代の危うさを表しているというか、そんな気がした。

49. 35才これからママになるあなたへ

11/13/2003
たまごクラブ特別編集
ベネッセ 1300円(税別)


私も昔の基準だと立派な高齢出産だし、イマドキは35歳以上の出産なんてよく聞く話だからそれほど特別だとは思わないけれど、やっぱり母親学級なんか行くと、他の妊婦さんはいくつだろう、って気になるかな。30代以降に出産すると、経済的には比較的安定していると思っていたけど、逆にお金を使い慣れているから節約が難しいケースがあるというFPのコメントがあった。うむむ、そうかあ。

48. 赤ちゃん あいしてる−斉藤由貴の妊娠・出産はじめて日記

11/10/2003
斉藤 由貴
小学館文庫 438円(税別)


ほんわかしあわせ〜な本。親戚やまわりの人とみんなで写った写真は、ほのぼのしているし、自筆の詩とかとってもかわいい。

47. 「出産」ってやつは

11/9/2003
田島 みるく
PHP文庫 571円(税別)


ちょっとお下品なマンガが笑える。生まれた瞬間の赤ちゃんについて、「なんじゃこりゃ」って感じだと仕事関係で知り合いのSさん(男性)が言ってたけど、やっぱり赤くてしわしわでETみたいなんだろうな。女性ばかりが妊娠&出産するなんて不公平って、確かにそういえばそうだな。

46. センセイの鞄

11/7/2003
川上 弘美
平凡社 1400円(税別)


装丁がシンプルで、ストーリーの解説も、著者の略歴も、あとがきもない潔さ。ゆっくりと進んでいく物語にだんだん溶け込んでいく感じがした。センセイとツキコさんの、丁寧語で話す大人の距離感が純粋な感じ。人と人の間にはいろんな感情と、いろんな関係があるんだなあ。

45. 生き方上手

11/3/2003
日野原 重明
ユーリーグ 1200円(税別)


最近病院に足を運ぶことが多いので、いろいろ考えさせられた。医学の進歩によって寿命は延びている一方で、病人は増えているということ。検査結果の数値に振り回されるのではなく、自分の体の具合は自分が一番理解しているということ。人生の最後をどう迎えたいか考えるべきであるということ。
それから、体重管理を気にしている私としては、92歳の著者は朝食、昼食はジュースとクッキーとかで済ませる、という所が印象に残った。ちょうど新しい食品成分表を買ったら、生活強度が軽い30代の女性の1日あたりのエネルギー所要量は1500キロカロリーと書いてあって、これじゃあ普通においしいものを食べてると食べ過ぎになるなあ、と改めて実感した。ちなみに妊婦はプラス350キロカロリーらしい。粗食を心がけよう。

43.44. マークスの山 (上・下)

11/2/2003
高村 薫
講談社文庫 各648円(税別)


私もだんだんミステリーの先が読めるようになってきたな、なんて満足しながら読めた。最後には、もっとびっくりするような種明かしがあってもいいんじゃないかと思ったくらい。ただ、この小説の場合は、読者に犯人や動機を推測させることが主な目的じゃない。警察、地検、法務省とか組織内部の構造はあまりよく分らないけど、世の中には権力者の都合でもみ消された事件や事故がたくさんありそうだ。
もし読んだことのある人、もしくは映画を見た人がいたら教えて欲しい点がひとつ。マークス"MARKS"のRはHなんじゃないかなあ。どうしても気になる。

42. ビタミンF

10/27/2003
重松 清
新潮社 1500円(税別)


30代後半から40代くらいの男性を主人公に、普通の家庭を描く短編集。どれも、普通に20代で結婚し、子供は1人か2人、奥さんは専業主婦で郊外のニュータウンに買ったマンションで暮らす。子供が成長するに従って出てくる色々な問題や、夫婦、親子関係の変化、日常生活でふと感じる虚しさみたいなものが色々な形で描かれていた。
もう若くもなく、子供も自立しかけている年代の男性って大変なんだなあ。振り返って「もしも、あの時」とか人生の他の選択肢があったことを思い出してみたり、遠く離れてしまった故郷と両親に思いを馳せてみたり、イマドキの若い社員たちの「バランス感覚」をもどかしく思ったり。
学校を卒業して時が経つほど、生き方の違いが幅広ーくなってくるんだなあ、と感じることがよくあるけど、結局のところ、モトのところはそんなには変わらないのかな。

41. きらきらひかる

10/24/2003
江國 香織
新潮文庫 400円(税抜き)


物語が終わりに近付くにつれ、笑子と睦月の結婚が常識的(?)なものに落ち着いてハッピーエンドになるのかな、と期待した私は、なんてフツーでツマラナイ人間なんだろう、と思った。

40. もっとウソを! 男と女と科学の悦楽

10/21/2003
日高 敏隆、竹内 久美子
文春文庫 448円(税抜き)


科学って、視点をちょっと変えれば学校で習うよりもずっとおもしろいんじゃないか、と思った。身の回りの動物や人間にいろんな角度で興味を持って、どうしてそうなっているのか知りたい、と思うことがあまりないような気がした。
そういえば、高校時代に、ふる〜い「物理の散歩道」とかいう本を家で見つけて読んで、おもしろかったのを思い出した。なぜ満員電車で、圧力がかかって苦しい位置と、そうでない位置があるのか力学的に分析していたのを覚えている。実感したのは東京で暮らすようになってからだけど。この本はとてもおもしろくて、一瞬、物理学科を受験しようかと思ったくらい。ま、そのころから本に影響されやすかったってことなんだけど・・・

それから、アカデミックな研究者の世界、特に日本では論文の細かい手法にいちいちケチをつける人たちがいるらしい、ということも分った。足の引っ張り合いをしている様子が窺い知れて、残念。

38.39. ノルウェイの森

10/12/2003
村上 春樹
講談社 各1000円


村上春樹の本はほとんど読んだことがない。これが学生時代に流行った時は、少しだけ読んでおもしろくないとおもった記憶があった。今回読んでみたら、印象が違ってけっこう入り込めた。村上春樹ファンの女性はロマンチスト、って男性が女性を口説く際のうんちくとして、何かの雑誌に書いてあったけど、そうかもね、と思った。身近な人の死をモチーフにしているところは、ちょっと吉本ばななに似てる気がした。
ちなみに、Hは、ノルウェイの話だと思ってこの上下巻を買ったらしい。

37. 壁

10/4/2003
阿部 公房
新潮文庫 350円


ごめんなさい、いちおうガマンして全部読んでしまったものの、良く分かりませんでした。というのが正直な感想。国語の成績はあまり良くなかった記憶がよみがえってきたりして、ちょっと悲しかった。たぶん安部公房という有名な作家の書いたものだから、ありがたみがあるのだろう。良く分らないのは私が理解できないからだろう、という読者としてかなり下手にまわった意識がある。寓話のような、現実には起りえない夢のような物語の展開から、何かを読み取るのは、夢占いみたいなものかしら。。。

36. 砂の女

9/30/2003
阿部 公房
新潮文庫 311円


引越作業中に見つけたので読んでみることにした。私は事故のニュースを目にすると、事故で即死した人って、自分が何で死んだのか分らないまま死んじゃうんだよなあ。そもそも自分が死んだことすら気付かないんだろうなあ、と思うことがある。結局、世の中って理不尽で説明のつかない世界なのかな。五木寛之も言うように、人生の目的なんてものはなくて、毎日の労働にそれほど意味なんてなくて、周りに人間がいて、やることがあって、食べられれば、人生進んでいくのかも。むなしい気もする。
結婚して嬉しいことの一つは、読んでない本が家でみつかることかな。同じ本が2冊ってこともあるけど。

35. 人生の目的

9/19/2003
五木 寛之
幻冬舎文庫 476円


この本はずっと前に古本屋で「大河の一滴」の隣に置いてあった。「大河の一滴」を買ったつもりが、家に帰って題名を見てびっくりした。何てどろくさい題名なんだろう。
宗教家でもある筆者の自分の両親についてなど、個人的な話は、郷里が近いこともあって、けっこうおもしろかった。父親についても回想したりするのだが、「親が子供に教えられることがあるとすれば、自分の生き方を見せること」というのが印象に残った。

「バカの壁」同様、富めるものとそうでないものがますます二分化されていく現代社会はこれからどんどん厳しいものになっていくだろう、という見方はちょっと悲しい。

34. バカの壁

9/16/2003
養老 猛司
新潮親書 680円


普通に生活していて何の疑問も持たなかった常識(=思い込み)に、ちょっと違った考え方もあるよ、と教えてくれるような本だと思う。
「個性」という言葉が、共通理解を求められた上で成り立っていると言われると、なるほどその通りだと思う。社会で生きて行くにはある程度バランスが取れていないと、「個性」はとても迷惑なものになってしまい、社会では受け入れられなくなる。筆者はこれを、無責任に誰が「個性」「オリジナリティ」などと言い出したのか、と問う。
また、昔は働かないでも食べていけることを目的としていたのに、なぜ現代のホームレスを幸せな状態だと呼ばないのか。仕事を機械化によって省力化するのなら、不要となった労働力はどう使われるべきかそこまで考えるべきではないか。一元的な考え方のもたらす危険性。お金が廻っていることが正常な経済活動だと見なす一方で、限りあるエネルギーを使い尽くし、環境を破壊している資本主義。
時代の流れに流され、都会生活にどっぷり浸かっている私たちはどこに行こうとしてるんだろうね。

33. 共働き子育て入門

9/10/2003
普光院 亜紀
集英社新書 714円


気になっていた本を書店で見つけたので早速購入した。
この「入門」のかなりの部分を既に私はクリアーしているのでとても幸せだと思った。それは1.仕事を続けることに対するパートナーの理解、2.育児以外の家事の分担はすでにできていること、3.育児休暇に理解のある会社の、復帰を前提とした正社員であること。

働くことについては、理解というより必要性と言った方が正確かな。この本が目的としている、子供を預ける「後ろめたさ」や、保育園育ちの子供はかわいそうで、なにか足りないものがある、という先入観をできるだけ払拭しようという試みも、それが乳幼児を持つ父親側にある場合に、母親が直面する壁を思うと、私はかなり解放されているといえるだろう。

引越しを控えて、新しい環境でどのくらい育児環境が整っているのか分らないが、なんとかやっていけるような気がしてきた。妊娠が判明したときにあった漠然とした不安が、少しずつはっきりとしてきた感じ。
妊娠を発表して以来、会社で、もうこれまでのように期待はできない、という空気を感じて寂しい気がすることもある。でもそれはむしろ「理解がある」ととらえて、図太く、でも周りには十分配慮しながらがんばっていかなくちゃね。このまえ70歳のお祝いがあった大学の恩師は、女性が働き続ける10箇条のひとつとして、出産・育児期間について「低空飛行でもいい。落ちなければ。」って言っていた。

32. アメリカの子供に英語を教える---アメリカの公立学校に教師として飛び込んだ日本人女性の奮闘記

9/9/2003
西海 光
光文社ペーパーバックス 819円


同僚の知り合いが書いた本ということで、貸してもらった。
アメリカの義務教育って終わってる、というのが率直な感想。日本人の子供は何て良い子なんだろうと思う。授業中は椅子に座るし、先生の言うことは一応聞く。特に移民の多いアメリカ社会の一部では、子供にとって英語が読めるようになることの意味、勉強することの意味が分らない状況にあるっていうのは、悲しいことだと思う。こんなに大変なんて、先生になりたい人が少ないっていうのも、分る気がする。

著者が教育サービス会社に採用され、インストラクターとして英語を教えたのはヒスパニックや黒人の子供たちが中心だが、英語がネイティブではない子供たちにとって、子供は吸収が早いという理由で英語が話せるようになると期待するのは間違いらしい。言葉の壁によって子供たちは子供たちなりにコンプレックスを感じたり、ストレスがたまったりするものだから。

それから、アメリカに長く住んでいても日系の社会から抜けることなく生きている多くの日本人がいる一方、離婚後2人の子供を抱えながら、ロサンゼルスの日本人社会を抜け出して、ほんとうのアメリカの姿を見ることになった著者の行動は大きなチャレンジだったんだなあ、ということが印象的だった。
「日本人」という言葉のコンプレックスを持ちながら3年間民間の会社に所属して、治安が悪く日本人は近づかない地域で貧しい子供たちに英語を教え、さらにこれから公立の学校で教えるために大学院に通っている著者のバイタリティに感心した。

31. About Schmidt

9/6/2003
Louis Begley
A Ballantine Books International Edition, US$7.99


あんまり暇だったのでスペインからの帰り、乗り継ぎのフランクフルトで買った。その後、常磐線ではほとんど寝ていることが多いので、このたびやっと読了。内容は弁護士事務所をリヤイアし、妻を病気で亡くした孤独な主人公、シュミットが、一人娘の結婚に、大きな声ではっきりとは言えないわだかまりを感じていたり、娘より若いウェイトレスに好意を持ったり、というお話。もう老境に入ったらやりたいことをやりたいようにやるのが、少なくとも自分は、幸せなんじゃないかな。

最近聞いた話を思い出した。4人の子供を持つ敬虔なカトリック教徒の夫婦が60過ぎてから離婚、父親は娘くらいの年の女性と再婚したらしい。かなりの資産を全て母親に残したものの、母親は病気がちで痴呆症が出ていて、子供たちも父親とは会うことも拒否しているのだとか。父親はカナダに移住したらしいんだけど、教会では正式にカップルとして認められないんだって。娘の友達だという知り合いは、まさかあの夫婦が離婚なんて、と驚いていた。そんな夫婦だったらしい。子供にも孫にももう会えないし、孤独よねえ、と言ってたけど、当事者にしか分らないことが色々あるんだろうなあ。


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