Last Updated 2/9/2004
1. コンビニ ファミレス 回転寿司
2. これでいいのか日本の食料
3. 出たとこ出産
4. 社長を出せ 実録クレームとの死闘
5. ストップ ザ ドクハラ
6. 知っていますか 子どもたちの食卓
7. 食育のすすめ
8. お金で笑え
9. 年収300万円時代を生き抜く経済学
10. 向田邦子の恋文
11. 週末起業
12. あした何を食べますか?
13. 赤ちゃんのいる暮らし
14. クライマーズ・ハイ
15. 養老孟司の<逆さメガネ>
16. 子どもの幸せにとって「いるもの」「いらないもの」
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16. 子どもの幸せにとって「いるもの」「いらないもの」
多湖輝
新講社 (2003/12) 1300円(税別)
--『子どもを不幸にするいちばん確実な方法は、いつでも、何でも手に入れられるようにしてやることである』

2/7/2004

我慢することの少なくなった子どもたちの現状について、お父さん、お母さんに「我慢を教えよう」と語りかけている。ただし、おカネがない、といつも言っていると、カネさえあればいいのか、と思うようになるからだめらしい。

15. 養老孟司の<逆さメガネ>
養老孟司
PHP新書 (2003/8) 680円(税別)
--「じつは子育てはそうはいきません。『ああすれば、こうなる』どころか、しばしば『どうしたらいいか、わからない』ということになりかねないのです。」

2/7/2004

現代社会は都市化していて、全てがシミュレーション可能で、コントロールできると思っているから、思い通りにならないことがあると納得できず、そのあたりに少子化の原因もあると指摘している。学生紛争を東大医学部の大学助手として経験し、考えたことや、その後、オウム真理教の学生の出現に驚いた話が印象的だった。

14. クライマーズ・ハイ
横山 秀夫
文藝春秋 (2003/8) 1571円+tax

2/5/2004

市民図書館で3カ月以上待ってやっと借りることができたので、一気に読んだ。おもしろかった。地方紙の記者だったという著者の経験によるところが大きいんだろうと思う。ミステリーっていうのかな、これって。だけど、家族の絆を語っていて最後はあたたかい涙がにじむ、待ってて良かったと思える本だった。

13. 新版 赤ちゃんのいる暮らし
毛利 子来
筑摩書房 (1999/1, 初版1983) 1350円+tax

2/2/2004

赤ちゃんを1人の「ひと」として、人格を尊重して一緒に生活しようという考え方が根底に流れていて、とてもあたたかいものを感じた。やっぱり0才児との生活は不安が大きかったり、精神的に不安定になったりして大変そうだな、と思った。小児科医の立場から、月齢や標準に振り回されず、大人と同じように立場を思いやっておおらかに暮らせば大丈夫という励ましみたいな本なので、大変なときに、くりかえし読んだら元気になれそう。

12. あした何を食べますか? 【検証・満腹ニッポン】
朝日新聞「食」取材班
朝日新聞社 (2003/10) 1200円+tax
--「かつて辰巳(芳子)さんにインタビューしたときに聞いた忘れられない言葉がある。『家事(料理)は何かといえば、ハウスキーピングではなくライフキーピングなんですね』。食事作りは、食べ手の命を支えることにつながる。」

1/31/2004

「食」の現在に関するレポートと、読者からの食に関する思い出の寄稿を紹介した朝日新聞の記事をまとめたもの。本書のために取材班のメンバーである記者たちが執筆したコラムでは、紙面で読む記事以上にそれぞれの「食」に対する思い入れが伝わってきた。知っている女性記者も取材班に名前を連ねていたからよけいそう感じたのかな。

11. 週末起業
藤井 孝一
ちくま新書 (2003/8) 1680円+tax
--「『起業=会社をつくること』ではなく『起業=業を起こすこと』なのです。『業を起こすこと』とは、世の中に役立つことをして、その対価としてお金をもらう仕組みをつくることなのです。」

1/30/2004

サラリーマンが会社に所属したままリスクを取らずに起業することを勧めている。起業というよりまず「副職を持つ」という感じかな。会社の枠組みを超えて、やりたいこと、できること、そして時流に乗っている事業を始めることで、本来の会社員としての生活も充実し、週末も時間を惜しんで働きたくなるような楽しい人生が待っているという。
具体的な指針というよりは、こんな人もいて、こんな考え方もあるよ、という紹介なんだけど、リスクをとらないという意味で、まずは資本をかけずに仕事は続けながら好きなことを週末やってみてはどうか、という切り口は、企業における終身雇用が全く保障されていない時代ならではかな。
週末起業すると週末も時間が惜しくて早起きをするものだ、なんて言われると、ぐうたらな産休生活をしている私としてはちょっと胸が痛い。

10. 向田邦子の恋文
向田 和子
新潮社 (2002/7) 1200円+tax

1/22/2004

向田邦子がちょうど今の私の年齢の時に書いたN氏宛の手紙と同時期のN氏の簡単な日記が第一部、向田邦子の妹の文章が第二部という二部立てになっている。一言で言えば不倫なんだけど純愛っていうのか、そういう美しさがあると思った。年齢を重ねるといろいろなつらいことが増えて、それをたくさん抱え込んで生きていかなくちゃいけないのね。そして、家族って不思議なもので、一番近くにいるようで、親や兄弟と全ての思いを共有しあっているわけではない。それぞれに対する距離の取り方や理解の仕方があってとても奥が深くて、なにかしみじみした。大人にならないと家族の自分の知らなかった側面に触れる機会はないし、全てを理解することなんてできないだろうけど。
「あ・うん」は大好きだけど向田邦子についてはあまり知らなかったので、もっと他の作品も読んでみたいと思った。

9. 年収300万円時代を生き抜く経済学 給料半減が現実化する社会で豊かなライフ・スタイルを確立する!
森永 卓郎
光文社 (2003/3) 1400円+tax
--「大学を出て大人になってからアメリカに行くと、迎えるアメリカ人は露骨な人種差別をしてこない。理由は二つある。大人は分別があるということと、もう一つは留学する日本人に社会的な裏付けがあるということだ。」
--「IT革命論が残したもの、それはIT詐欺師たちの懐に貯まった莫大なキャッシュだけだったのかもしれない。」
--「どういう人材が欲しいですかという質問をすると、アメリカ系の企業では、冗談交じりに『それは僕より能力の低い人さ』という答えが返ってくる。もちろん完全に嘘ではないからジョークになるのである。」
--「そもそも、外資系が日本に腰をずっと下ろしていくことはあまり考えられない。」「本当に有能な人は、アメリカ本土やヨーロッパにいて、日本に来る経営者は二流、三流というのは、外資系企業の常識になっている。彼ら日本に来る経営者は中長期的な戦略を持たず、アメリカ本社の顔色を見ながら短期の数字だけをあげることだけに腐心している人も多い。」
--「『転職でステップアップする』という幻想を信じて漫然と転職を繰り返してきて、気が付けば何も積みあげてきたキャリアがないというような場合は、先行き、新階級社会の三層構造で一番下しか道がなくなってしまうと覚悟しておいたほうがいい。」
--「老後生活のためにお金を準備する余裕があるのだったら、老後の生きがい作りのために投資したほうがよほどましだと思う。」「どんなことでもよい。一生、自分のことを必要としてくれる場があれば、心豊かな老後を送れる。事業でもよい、ボランティアでもよい、研究でもよい、芸能やスポーツでもよい。大切なことは、一日でも早く始めることだ。早く始めれば始めるほど、プロとして自立できるチャンスが膨らむ。」

1/20/2004

森永卓郎はこの「生活リストラ」を勧める本でかなり稼いだらしいので、彼は明らかに階層化すると自身が予想する日本社会において高所得者層に属する。この本の中で、年収300万、400万レベルでも幸せな生活を、というアドバイスの部分は最後に出てくるが、ほとんどがいかに小泉内閣がアメリカをモデルとした弱肉強食社会を目指しているかという経済学者的分析を紹介している。大人になってアメリカに留学した政治家やブレーンたちが、富める者には厚く、貧する者には見せかけだけの政策を進めることで、1%の支配階級とそれ以外の一般市民99%を作りだそうとしているという。彼が予想する新階級社会では、成果主義の名の元、所得格差が広がると同時に、住む場所、食、医療、教育も二極化が進み、その階級は今後も再生産されていく。
先進国ではアメリカ型経済社会システムを真似ようとしているアメリカとイギリスと日本以外の大陸ヨーロッパでは、いくら頑張ったって貴族にはなれないというあきらめがあるから、長時間労働をするより、自分がいかに楽しく、幸せに生きるかという価値観を中心にしている。この「あきらめ」がこれから一番必要だという。中途半端な幻想を持って、人生を犠牲にするなということらしい。

たしかに日本人はそこそこの収入を得るために長時間働き、そこそこの生活をしているけど、将来については何となく不安を感じていて、そんなに幸せではないのかもしれない。年収300万円の世帯でもテレビも電子レンジもあってそれなりに幸せな生活が送れる。システムキッチンやいわゆる高級車がなくても流し台と軽自動車があれば十分であって、要は考え方の問題だといわれればそうかなと思う。デパートで服を買わなくてもユニクロがある。広いところに住みたかったら田舎に行けばいい。選択肢は確かにあるんだけど、結局は何を優先するか決めるのが難しいんだなー。

8. お金で笑え! 30代40代からのマネー&人生読本
フォーサイト編集部
新潮文庫 (2004/1) 514円+tax
--「A:ローンなしでは家が買えないあなた(とあなたの妻)が、エスカレーター式の幼稚園にこだわるのは分不相応です。夫よりも子どもを重視し、たぶんそれ以上に世間体が大切な馬鹿妻に、十分な決意をもって「抵抗」してください。」
--「人間というのは、得した話より損した話を聞きたがる。」「自分のネットワークを豊かにしていくためには、まず失敗すること。損をすることから始めた方がいい。」
--「金銭面で人生を激変させる事件は、サラリーのみ受け取っているかぎり起き得ない。それを可能にするのは株式の取得だけ。」

1/19/2004

森永卓郎をはじめ、マネーのプロのさまざまな意見と、作家やファンドマネージャー他の体験談などを紹介し、色々な切り口でお金に対する考え方を紹介している。なかなか辛口でおもしろい。特に金融商品については株の現物売買はともかく、投資信託や銀行預金などは金融機関が都合良く儲かるしくみになっているので、お客が得するわけはないし、本当に儲かる方法を知っているんだったら、銀行の支店長やファンドマネージャーがその立場に留まっているわけがないと切り捨てる。お金に対する考え方は人それぞれで、自分で責任を持って考え、納得できるように遣えばいいんじゃないかな。やっぱ周りに流されることが一番いけないみたい。マネー誌と多少つきあいのある私としては、マネー誌の解説コーナーがおもしろかった。

7. 食育のすすめ 豊かな食卓をつくる50の知恵
服部栄養専門学校校長 服部 幸應
マガジンハウス (1998/3) 1,400円+tax

1/15/2004

「食育」という言葉を題名に使っているが、半分くらいは食べ物の歴史や、食文化の解説と栄養のマメ知識って感じで、全体的に焦点がはっきりしないような印象が残った。筆者は「子どもたちによる犯罪が増加し『キレる』子どもたちが増えている原因は、合成着色料、合成保存料、発色剤、酸化防止剤を含む加工食品を中心とした食べ物と、その食べ方にあると確信している」と言うけれど、その根拠についてはあまり説明がない。昔ながらの、季節ごとのおふくろの味を廃れさせることなく子どもたちにも継承していこう、というのが栄養学校の先生らしい立場かな。遺伝子組み換え食品については反対していない点が意外だった。

6. NHKスペシャル 知っていますか 子どもたちの食卓 食生活から からだと心がみえる
足立 己幸 NHK「子どもたちの食卓」プロジェクト
NHK出版 (2000/2) 1,500円+tax
--「摂食障害の若者の親は、多くの場合人生を楽しんでいないように思うのです。できれば親たちが、子どもたちよりも人生を楽しめるようになったとき、若者たちも自分の人生を楽しむことになる可能性は大きいと考えられます。」
-- 「まず親が、自分たちが望んで子供をつくったという実感を持ってほしいと思います。親が望んだ子であると考えることは、若者が種々の体験をして自己の存在感を持ち、そして自己効力感(セルフエフカシィ)を持ち出し、自己評価(セルフエスティメイト)を高めることに貢献するものです。」

1/14/2004

1982年と1999年に全国の小学5年生と6年生を対象に行った食行動の実態調査の結果を元に、今子どもの食生活がどうなっているのか、問題提起している。主に「こ食」(「孤食」「子食」「個食」「固食」)が増えている点を指摘し、忙しすぎる小学生と親の生活、コンビニ、ファーストフードでおいしい食べ物がいつでも手に入る環境を背景にあげている。
調査方法は子どもたちに、前日の朝食と夕食の風景を絵に描いてその時の気持ちも記入、加えてアンケートに答えてもらう形を取っている。この生データである絵が、それぞれの家庭をよく表していてとてもおもしろい。朝のテレビの画面を見るとどのチャンネルを見ているか分るし、お父さんは仕事に出かけ、お母さんは洗濯をしてたり、朝の家族の慌ただしさが伝わってくるものもあれば、一人で自分の部屋の布団の中で、おにぎりを食べながらゲームをした、っていう子どももいた。一番びっくりしたのは、朝食も、夕食もホットケーキだけだった女の子。ちなみにこの子は前日の夕食もホットケーキで、「好きだから嬉しい」らしい。
ひとりで(もしくは兄弟と一緒に子どもだけで)朝食を食べた子どもは、99年の調査によると50.9%と半数を超え、家族全員で夕食を食べた子どもは33.4%と3人に1人だった。

実際自分の生活を振り返ってみると、夕食を一人で食べるのは確かに寂しいしつまらないけど、朝食は好きなもの、簡単なものを食べる習慣がついてしまっている。子どもの時は、小学生の時はともかく、中学校も後半以降、塾に通っていた時は夕食を2回食べるのは珍しくなかったし。
毎日の生活で、食いしん坊の私にとって食べることはかなりのウェートを占めていて、食べることばかり考えていると言っても過言ではないので、食事に興味がない人がいるっていう事実にびっくりした。夕方の報道番組で渋谷の高校生やティーンエイジャーを対象にした同じような特集を見たことがあるけど、ポテトスナックにお湯を入れてぐちゃぐちゃにかきまぜて食べたり、これまたとんでもない食べ方をしている若者が多くてびっくりしたな。
救われるのは、小学生も頭ではちゃんと分っていて、「給食は色々な種類が出てくるし栄養がいいので好き」とか、親への要望として、1人で食べるのはつまらないのでたまにはお父さんも一緒に楽しくご飯を食べたい、とか言っている。
この本では問題提起を目的としているので、結論は出していない。例えば、母親はもっと栄養を考えておかずをたくさん作るべきだ、とは言っていない。このような問題は、学校で食育の機会を増やしたり、父親も積極的に参加して社会的に考えていくべきだと言っているのでほっとした。

5. ストップ ザ ドクハラ
土屋 繁裕
扶桑社 (2003/6) 1,333円+tax
--「医療は確率の世界です。より確率の高い方法から進めて行きます。これが近代医療の常識なのです。しかし患者さんが知りたいことは確率ではないのです。自分はどうなのか、どうなるのか、自分だけの正確な予測、事実を知りたいのです。90%治ると言われても、自分は残り10%に入ってしまうかもしれません。それじゃ患者さんにとっては意味がないのです。だから納得することが大切なのです。患者さん自身が納得して自分で選択することこそが重要なのです。」

1/12/2004

体調が悪くて病気を疑う瞬間、突然いろいろな悪いケースを想定して気が弱くなるもので、実際に病気を患っている場合や、検査結果を聞くために医師と話す場合など、患者側はかなり精神的にもろい部分があると思う。そういった状況で、たとえ医師に悪気はなくても患者が傷ついてしまうケースはよくあるんだなあ、と思った。産婦人科と、小児科(特に救急)と、がんなどの告知の際の例が多く紹介されていた。筆者は対策として、できればその場で反論すること、難しければ病院や世論に訴えることを勧めている。案外、自分が何を言っているのか、相手がどう感じるのか分っていない医師が多いらしい。例えば救急で子供を連れていった際に、救急のダメ医者に「母親失格だ」と言われたら、「あなたは医者失格ですね。」という風に言い返すべきだという。
医者も人間だから失敗もするだろうし、毎日毎日選べない患者と顔を突き合わせることがイヤになる時もあるだろう。だから患者側が良い人間関係を構築するよう工夫することも、敵対心を持つよりはいいと思う。
「医者を選ぼう」とは言っても筆者の言うようになかなか医師の個人情報は開示されていないし、結局地理的要因や病院で選んでしまうのが現状だ。親類に医師の多い私でも、婦人科を引っ越した土地で選ぶときには、適当に近くの総合病院を、新聞のナントカランキングで見たことがあるという理由で選んだし、急に担当医師が替わると言われたら、はいそうですか、という羽目になっていて全然「選ぶ」って感じじゃない。でもまあ担当の若い医師がイヤじゃないし、ベテランの優秀な先生もいるとどこかで読んだし、看護士さんや助産婦さんも明るいので特に不満じゃないのがありがたいかな。消極的だけど。

4. 社長を出せ 実録クレームとの死闘
川田 茂雄
宝島社 (2003/8) 1,400円+tax
--「クレーム処理担当者には、それ相応の資質がなければなりません。相手が認めてくれるだけの発言、仕事ぶりがなければなかなか理解はもらえないのです。」「相手に自分を認めさせるためには『なんとしてでもこの問題を自分で解決するんだ』という強い意志を示すことが必要です。技術的な話では決してお客さまに負けるようなことがないように、またどんな話題になってもお客さまと充分にお話ができるように、技術だけにとどまらず、芸術でも哲学でも宗教でも、自分が培ってきた素養と人間性を総動員して交渉に当たらなければなりません。」

1/9/2004

某カメラメーカーで長年クレーム処理を担当してきた筆者が、自身の経験から同じ立場のクレーム担当者にエールを送る内容。筆者は学校におけるいじめ問題が表面化してきてから、クレームが増えたと分析する。また、インターネットで過激な発言などをしてバトルを好む人たちには心の寂しさがあると捉え、真心のこもった対応が必要と説く。また、メーカー社内でも、「クレーム担当者が説明できないから、とクレーム処理に慣れない設計者や技術者を直接お客に合わせると、説明に迫力がないので相手を説得できないばかりか、連れていった仲間も懲りて今後救援を渋るようになってしまう」という。
クレーム処理はお客さま商売の最たるもので、コミュニケーションの点でとても勉強になる内容だった。心の中で少しでもばかにしていると言葉や態度に出てしまう。あくまでも謙虚に相手の話を聞くこと、クレームは企業にとって大切な消費者の声なので、商品の品質向上や新製品開発に生かすべき、という姿勢は、これまでの実績に基づく自信があるからこそ言えるんだなあ、と思う。特に一定期間で部署や職種を異動する大企業では、自分に求められている役割を明確にしにくい側面もあるなか、技術・開発との内部調整に心を砕いて説得できている点がすばらしいと思った。私が見る限り、大企業の広報部は、同じくメディアや消費者、時には株主といった外からの声を聞く役割もあるのに、社内における力が弱いばかりに、そういった貴重な外からの声を吸収するだけで、社内の他の部署を説得できない、イコール全く外からの声が経営に生かされないというケースが多い。

3. 出たとこ出産 小児科医夫婦のドタバタ出産・子育て記
村上 綾子
清流出版 (2003/2) 1,400円+tax

1/7/2004

出産&育児体験記も各種読んだけど、あらためて出産、育児って大変そう、と思った。ここまできたので、つわりとか切迫早産とかそういった妊娠中のトラブルについては実際体験したり調べたりしたのでともかく、実際の出産とその後の育児の修羅場かげんに覚悟を要するというか。医者の夫婦でも、振り回されてイライラしてへとへとになるんだなあ。でも、どの体験記も文章にすることで冷静になっている部分があるような気がする。新しいことはとにかくなんでも、おもしろがってやってみなくちゃね。

2. アメリカ人研究者の警告 これでいいのか日本の食料
ジェームス・R・シンプソン (編集・監訳 山田 優)
家の光協会 (2002/7) 1,500円+tax
--「(日本が国際社会で誤解を受けた)これらの失敗の多くは確固とした広報戦略をもたず、下手に小手先でイメージの向上を図ろうとして、逆に墓穴を掘った典型と言えそうだ。」
--「貿易自由化による利益は、食料の輸入国である日本よりもはるかに多く輸出国側に落ちることが、さまざまな研究報告で明らかになっている。」
--「『経済発展』の名のもと、倫理に反するさまざまな農業政策が押しつけられている。」
--「農林水産省の2000年の調査によると、日本の干しシイタケ消費の64%、生シイタケの38%、さらに松茸で95%、たけのこの85%が中国産だった。」
--「食料貿易の自由化というのは結局のところ、勝者と敗者を生み出すことにつながる。」

1/6/2004

農業経済学者としての視点で、アメリカ人ながらも日本の食料の現状を紹介し、もっと食に興味を持つよう、日本の食料の未来に危機感を持つよう提言している。「貿易のとりこ」になって良いのか。善良な日本人は、自動車や精密機械といった工業生産品の輸出黒字が大きいことに対する後ろめたさと、聞こえの良い「自由貿易」という言葉に騙されて、必要以上に国際的な農業交渉の場で、自国の置かれた立場を十分に説明、説得できていないのではないか。そのためには、交渉を行う当事者だけでなく、消費者である国民がもっと食料に対する関心と、現状に対する怒りを表明しても良いのではないかと述べる。
確かに日本は国際交渉が不得手だと思う。政治家も国も「保護貿易主義者」のレッテルを貼られたくない。しかし著者が説明する、工業製品と農産物の違い、輸出入の金額では比較できない日本人の生活への影響の大きさを、何らかの形でコミュニケーションしていくことは重要だなあ、と思った。個人レベルで何をすべきか、となると難しいのだけど、「食べることは生きること」なのだから。

1. コンビニ ファミレス 回転寿司
中村 靖彦
文芸春秋 文春新書 (1998/12) 710円+tax
--「1996年、日本の農業総産出額は10.2兆円、水産は同じく2.2兆円である。この数字は、日本最大の自動車産業1社が連結決算も含めて1年間に売り上げてしまう金額とほぼ同じである。」「しかし、食の世界は違う。日本の農水産物と海外からの原材料を使った食品製造業の総出荷額は31兆円、これは電気機械製造業と輸送用機械製造業(自動車)に次いで第3位の大きな金額である。さらに外食などを加えて、消費者が食に支出した総額は70兆円という巨大市場になるのだ。」「12兆円と70兆円の間に、いま何が起きているのか。」
--「日本人のカロリー自給率は42%である。」「耕地面積の狭い日本では飼料用穀物の国内生産を放棄してしまった結果、飼料の自給率は25%まで低下した。飼料用穀物の輸入が自給率を下げるのは、これを家畜に食べさせて肉にする時の効率が悪いからである。鶏の正肉1kgを生産するには4kgの餌が要る。豚で7kg、牛では11kgである。」
--「農林水産省が毎年公表している供給カロリーは、1996年に一人当たり2,651キロカロリーだった。ところが、厚生省が実際に摂取しているカロリーを調査したところによると、同じ年で一人当たり2,002キロカロリーになった。食料の市場への入りと食卓段階の差、カロリーにしておよそ650キロカロリーが、供給されたのに消費されなかった分とみることが出来る。これは供給された食料の25%ほどに当たる。」

1/3/2004

日本の食が直面する課題を、さまざまな側面から取り上げている。第一次産業としての生産の現場、食料の輸出入に関する政治的要因、外食産業を中心としたサービス産業、技術革新を続けるバイオテクノロジー、変わる家庭の食卓。ただ、家族で食卓を囲む機会が減り家庭の味がなくなったとノスタルジーに浸るだけでなくその背景の実態を伝えようとしている。
私自身、食事の支度をしていて、「ごはん作るのって自己満足だよね〜、だって、同じようなものが駅前のオリジン弁当で24時間買えるんだよ。」なんてつぶやくこともある。けど、初めてアメリカでホームステイした時に、スパゲッティおいしいね、って言ったら、作り方教えてあげると言われて缶詰めを見せられたときはがっかりしたなあ。日本があんな風になったらちょっと悲しいと思う。もちろんその後、朝からパンケーキを焼いてくれるハワイのお家にもホームステイしたから、いろんな家庭があるっていうのが分ったけど。


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